さて、今回、アガリスクが黄金のコメディフェスティバルで披露する中編『出会わなければよかったふたり』は、当然、シチュエーションコメディです。
その中でも、「ファルス(笑劇)」と呼ばれる部類のシチュエーションコメディです。
前回の『時をかける稽古場』とか、その前の『ナイゲン』とは違うタイプのコメディです。
シチュエーションコメディっていうのは、「場の状況によって笑わせるコメディ」です。
ファルス(笑劇)というのは書いて字の如く「笑わせるのに特化した芝居」といいますか。
この論って、マニアックなわりに定義が曖昧で、なかなか説明するの難しいので、あくまで「アガリスクエンターテイメントの解釈」って目線で聞いてもらえればと思うんですけれども。
で、「シチュエーションコメディ」っていう言葉も、「ファルス(笑劇)」という言葉も、意味や解釈が複数あります。シチュエーションコメディというジャンルの中にファルス(笑劇)が含まれている、って論もあれば、明らかにシチュエーションコメディとは別ジャンルな、ギャグを多用するコメディがファルス(笑劇)と呼ばれてることもあって、もはや定義はわけわからなくなっています。
なので、アガリスクでは(というか僕は勝手に)シチュエーションコメディの定義の中のファルス的な部分、つまり接点の部分を「ファルス型シチュエーションコメディ」と呼んでいます。
こういう感じ↓

ファルス型シチュエーションコメディの典型例は「嘘をついて誤魔化してピンチに陥っていく」といったものです。
なので、アガリスクの過去作品だと『ナイゲン』『無縁バター』はシチュエーションコメディ、『みんなのへや』『静かに殺したい』『大空襲イヴ』はファルス型シチュエーションコメディ、といったところでしょうか。『時をかける稽古場』?…わかんない。
で、まぁとにかく、黄金のコメディフェスティバル2014では「嘘をついて誤魔化してピンチに陥っていく…」モノのファルス型シチュエーションコメディの作品を作るのですが、この夏、この形式の、超ビッグネーム、ビッグバジェットの作品が同時期(千秋楽は同日)に上演されます。
それが、こちら。
パルコプロデュース『君となら』(作・演出:三谷幸喜)
もしも娘の恋人が、父親以上に年の離れた人物だったら…。好きだけど隠したい、そんな彼が突然家に訪ねてきたら! という状況で、嘘をついたり誤魔化したりしまくる作品です。
シチュエーションコメディを作るために演劇を始めた自分にとっては、まさに最初に憧れた作品で、これと『バッドニュース・グッドタイミング』の映像を見てコメディの作り方を学んだ、といっても過言ではないほど、とても影響を受けた作品です。
今年、初めてコメディの演劇祭なんてものに出場することになったからには、そして同時期に『君となら』が再演されるというのなら、一番最初に目指したこの「ファルス型シチュエーションコメディ」をこそ持っていかなきゃと思ってますし、そりゃあ期間とか規模こそ違えど『君となら』を超えなきゃ、と思ってます。
あ、あと勿論ほかの出場団体もだけど。
次回は「何故アガリスクが獲るべきなのか!」を、誰も書いてくれないから自分で書きます。